電動キックボードをとりまく事故の状況

近年電動キックボードの事故が急増しています。
小回りが利き、自転車と比較しても手ごろに利用できることから、サイクルシェアリングの1移動手段として、街中でも見かけることが増えてきた電動キックボード。
2023年7月に電動キックボードに関する新ルールが適用されたことから、免許が不要なタイプが加わり、今後大きく需要を伸ばすことが予想されています。

その一方で、警察庁の発表した「令和4年における交通事故の発生状況について」によると、電動キックボードの事故は令和2年の4件から、令和3年で29件、令和4年には41件と急増しており、利用する人を含めたすべての方へのルール周知が喫緊の課題となっています。
特に事故の相手当事者は4輪自動車が31件と全体の42%を占めており、車を運転する方にとっては、新しく登場してきた電動キックボードというモビリティに対して無関心でいられない状況をあらわしています。

なお警察庁では令和3年9月~令和5年1月までの間に2014件の違反を摘発しており、1321件で指導警告を行いました。
最も多かった摘発が「通行区分」の違反で1116件と全体の55%を占め、2番目に多い「信号無視」の違反437件(22%)と合わせると、全体の8割近くが基本的な走行ルールの違反となっています。
電動キックボードを利用する人がルールを知らない、あるいは知っていても軽く考えてしまいルールを安易に逸脱してしまっている現状が垣間見えますね。

電動キックボードで気を付ける交通ルール

まず、電動キックボードは道路交通法上の「車両」に該当し、電動式モーターの定格出力に応じた車両区分に分類されます。
現在は「原動機付自転車」または「普通自動二輪車」として運転には免許証が必要でしたが、2023年7月以降はここに「特定小型原動機付自転車」として種類が追加されることになります。この「特定小型原動機付自転車」(いわゆる特定小型原付)は免許証不要で、16歳以上であれば利用が可能です。車道以外も、路側帯や自転車専用レーン、一定条件の下(最高速度6㎞以下+識別灯の点滅)で歩道が走行できるようになります。
より身近に利用できるモビリティとなりますが、あくまでもスペックが限定された電動キックボードのみとなるため注意が必要です。すべての電動キックボードが免許証不要になるわけではなく、また歩道等を通行することができるわけではありません。

加えて、電動キックボードでは
「飲酒運転の禁止」
「ナンバープレートやライトといった保安パーツの設置」
「ヘルメット着用」
「2人乗りの禁止」
 などが義務付けられています。
(ヘルメット着用に関しては、特定小型原付の場合には努力義務となります)
保険への加入も必須ですので、忘れずに加入してください。
あくまでも車両に位置づけられることを念頭におき、交通ルールを守って安全な運転を心がけましょう。

今後想定される問題点

電動キックボードの法整備は始まったばかりです。法律の周知も始まったばかりのため、交通ルールが浸透するまではかなりの混乱が予想されます。
1)すり抜け運転
バイクでたびたび問題になるすり抜け運転ですが、電動キックボードでも同じく問題になる可能性があります。
小回りが利くため、ドライバーとしても渋滞を避けたり歩道を走ったりと、自分に都合のよいように運転したくなるものです。
その時に交通ルールを守らずに事故を起こしてしまったら・・・
当然罰則が存在しますが、その罰則がどれほど重い物なのかまで把握している人は多くはないでしょう。
電動キックボードの形状が世間一般の車両とかけ離れていることなどから、歩行者による信号無視(これも法律違反ですが)と同じくらいに考えてしまい、結果大きな事故につながるケースが出てきそうです。

2)保安パーツの未設置や改造
レンタルで使用するのではなく、自分で購入する場合に問題になるケースとして多いのは、保安パーツの未設置が考えられます。
特に海外製のキックボードの場合、購入時に日本の法律に適合した保安基準の製品となっているかは未知数となります。
後付けでライト・ミラー・反射器などの設置が必要なのに、そのまま運転を始めてしまったら・・・
当然法律違反になりますし、乗車する人の身の安全も保証できませんよね。

3)今まで経験していないモビリティであることからくる動きの予測ミス
歩行者や自転車・バイク・車がどのくらい速度を出せるのか、どういった挙動をするのかについては、ほとんどの方が日々の暮らしの中でなんとなく学習していきます。
そのため膨大な交通量や交通ルールの違反に比して、実際の事故は多少抑えられています。
ところが今まであまり見たことのない動きのモビリティが増加すると、今後見慣れるまでは事故が増えることが予想されます。
車にとっても歩行者にとっても注意が必要でしょう。
また、ナンバープレートは原付の半分程度の小ささになることから、事故を起こした場合の車両特定には今流通しているドラレコで視認できるかという問題もあります。

まとめ

シェアサイクルなどの普及により、電動キックボードはここ数年で一気に市民権を得るようになりました。
そのため自分で運転しなくても、電動キックボードの事故に巻き込まれるリスクが否応なしに高まってきています。
自分の身を守る意味でも、今回の法改正が意図する点をしっかりと押さえておきましょう。

なお、KITAROでは現在アダプタ版、デジタコ版、ドラレコ版に加え、バイク版のサービスも提供しております。
今後はバイク版の1端末として、自転車や電動キックボードにも使用できるような充電式の端末をご提供予定です。
他の端末と比較すると取得できるデータは多少限られますが、安全運転を手助けできるサービスとして皆様のお役に立てると思います。
気になった方はぜひKITAROサービスサイトまでお問い合わせください。

出典:
警察庁HP
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/tokuteikogata.html
警視庁HP
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/kotsu_joho/kickboard.html