運送業界のみならず、今世間一般では交通事故防止とドライバーの安全確保が最重要課題の一つとなっています。事故は人的被害のみならず、車両の損傷、荷物の損失、企業イメージの低下など、さまざまな損失を引き起こします。
特にアルコールチェック記録の義務化については、車を保有する企業は車両の台数に関わらず意識しなければならない問題になってきていると言っても過言ではないでしょう。
義務化の対象(車両台数5台以上)でない場合でも、自社の従業員が飲酒運転によって事故を起こしたとなれば、会社に与えられるダメージは計り知れません。
そうした事故を防ぐためには、ドライバー一人ひとりの運転スキルや安全意識を高めていく必要があります。

そこで注目されているのが、テレマティクスによる運転データの可視化と活用です。GPS情報などから正確な運転状況を記録・分析することで、ドライバー個人への的確な指導が可能になります。今回は、テレマティクスサービスを活用したドライバーへの効果的な安全指導のポイントについてお話します。

進むテレマティクス導入の流れ

前提として、テレマティクスでできることを押さえておきましょう。
近年運送業界をメインに、テレマティクスサービスの導入が急速に進んでいます。
その背景には、業務効率化を実現する有力なツールとしての期待が存在します。
テレマティクスサービスとは、車両の位置情報や運行データをクラウド上で一元管理し、可視化・分析するシステムです。単なるGPS管理ツールにとどまらず、AIなどの先端技術を活用して、運行管理業務を飛躍的に効率化できるようになってきました。
ちなみにテレマティクス(telematics)とは、Telecommunication(通信)とInformatics(情報科学)を組み合わせた造語です。
こちらのブログで「テレマティクスとは何か」をご紹介していますので、よろしければこちらの記事もご覧ください。

テレマティクスって何?導入のメリットデメリット

テレマティクスの大きな特徴は、以下の3点です。
①車両の動態を正確に把握できる
従来は手書きの運行記録やドライバーの申告に頼らざるを得ませんでした。しかし、テレマティクスなら車両の移動経路やスピード、ドライバーの運転行動などをリアルタイムでデータ化できます。正確な情報に基づいた運行管理が可能になります。

②業務課題を客観的に発見できる
テレマティクスのビッグデータ分析により、過去の運行実績から課題を見つけ出すことができます。例えば、無駄な移動経路、長時間の渋滞区間、危険運転の多発エリアなどが明確になり、具体的な対策が講じやすくなります。
③事故の削減が図れる
急ブレーキや急加速といった車両の運転状況をいつでもどこでもチェックすることができます。ドライバーにも安全運転の意識づけを行うことができ、人手をかげずに危険運転の防止に役立たせることができます。

このように、テレマティクスサービスが持つリアルタイム運行状況の把握、業務効率化、安全運転指導の3つの機能により、物流業務はより効率化されると考えられています。
加えて、脱炭素社会への対応や人手不足の解消にも寄与できます。無駄な走行を減らせば CO2排出量が削減でき、AIによる最適化は人手を大幅に省力化します。つまり、コスト削減とサステナビリティにも直結する有力なツールなのです。
2024年問題を控え、今後の物流業界のさらなるDXを考えると、テレマティクスは必須のインフラと言えるでしょう。

ドライバーへの安全指導

テレマティクスデータを活用した安全運転指導について、以下の方法が考えられます。
ぜひ試してみてください。
1. 危険運転の見える化
テレマティクスの大きな強みは、GPS情報とセンサーデータを通じてドライバー一人ひとりの運転行動を正確に記録・分析できる点にあります。急ブレーキ、急加速、急ハンドルといった危険運転行動を可視化し、具体的な指導の材料にすることができます。
ドライブレコーダーのような、カメラ機能を保有するデバイスであれば、わき見検知や居眠り検知といったさらに細かい危険運転行動も可視化することができるでしょう。
テレマティクスサービスには1回ごとの運転を診断してレポートを作成する機能を持つサービスも多いため、ドライバー個人の危険運転の傾向が明確に分かり、具体的な指導ポイントが理解しやすくなります。

2. ドライブレコーダー映像の一元管理
多くのテレマティクスシステムでは、ドライブレコーダーの録画映像をクラウド上で一元管理できます。指導の際、実際の危険運転場面の映像を確認しながら、具体的なアドバイスができるでしょう。「こういう状況でこうするべきでした」と分かりやすく伝えられます。
非通信型のドライブレコーダーの場合、危険運転が発生した箇所を見つけるのに一苦労かかりますが、通信型のドライブレコーダーであれば管理者にかかる負担も0なうえ、その日のうちにドライバーへの指導も行うことができ、運転状況の改善が見込めます。

3. デジタル日報によるリアルタイム運転状況の把握
手書きの日報では、ドライバーが実際のところどのような運転状況だったのかまでは追跡することができません。1日の運行状況を詳細に把握し、速度を出しすぎていないか、休憩を適切に取れているか、どのようなルートを走行したのかなど、ドライバーごとの状況を踏まえて指導の内容を変えることもできます。
スマホのアプリと連動したサービスの場合には、停止していた時間帯が休憩なのか、積み降ろし作業をしていたのかといった細かいデータをドライバーに登録させ、さらに詳細な1日の運転データを記録できるものも存在します。

4. アルコールチェックの実施
一部のテレマティクスサービスでは、アルコール検査機器と連携する機能があります。
運転開始前のアルコールチェック結果がクラウドにリアルタイムで送信され、管理者がいつでも結果を確認することができる仕組みを持っています。指導の機会を逃さず、アルコール運転を未然に防げます。テレマティクスサービスで使用するアルコール検査機器については、市販されているすべての検知器を利用できるタイプ(写真撮影やOCR機能)と、特定のBluetooth機器のみ接続できるタイプの2つにわけることができます。

5. 通知機能でタイムリーな指導を実現
テレマティクスサービスでは、様々な通知機能を保有しているものがあります。
代表的なものは危険運転の通知ですが、それ以外にも車両情報の通知や指定場所への到着通知(ジオフェンス)といった機能を保有している場合があります。
車検の時期やオイル交換の時期、ドライバーの免許更新時期といったスケジュール管理のできるサービスを選ぶと、後になって車が使えなくなる・ドライバーが確保できなくなるといった事態を防ぐことができるでしょう。
指定された場所にしっかりとドライバーが到着しているのか、リアルタイム位置情報以外にもメールで通知したい(パートナー企業に対して自動メールを送信したい)といった要望にもこたえられると、管理者の手間もさらに削減することができます。

このように、テレマティクスの運転データを積極的に活用することで、客観的根拠に基づいた具体的かつ効果的な指導ができるようになります。特に、一人ひとりの運転傾向を細かく分析できる点が大きなメリットです。運転データから課題を発見し、個人に合わせた指導を継続することで、安全運転レベルの向上が期待できるでしょう。

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まずは弊社のKITAROを活用し、お客様のドライバー指導の質を高めていただければと思います。
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